これからの人類世界に最も大きな影響を与える新しい要素は、「人工知能」（ＡＩ）です。これは、自分で学ぶ能力を持ったコンピュータを動かすプログラムです。人工知能を応用することによって、コンピュータは、人間の学習をはるかに超える速さで物事を学ぶことができます。つまり、コンピュータが利用可能な分野の仕事では、近い将来、人間はコンピュータに追いつけなくなるでしょう。そのような仕事の分野の一つとして、「法律」の分野があります。また、医学や科学技術の分野でも、人工知能が重要になるでしょう。その理由は、論理性だけに注目すれば、コンピュータは人間よりもはるかに速く、正確に物事を考えることができるからです。そのような人工知能を使う人間が生きる社会では、人間と人工知能で動く機会とが協力して問題を解決しようとするとき、何らかの原因で、問題解決に失敗する可能性があります。その失敗の原因の分析や、現実に失敗を犯した人間や機械の処分、さらにその失敗を繰り返さないようにするための社会の対応等に関する基本的な考え方を確立する必要があります。例えば、自動運転で走っていた自動車同士が衝突して、向井恵奈第三者である歩行者が死んだとき、誰がその責任を負うべきかについての議論などです。運転者がいないので、自動車の所有者にするか、自動車を開発・生産した企業にするのか、自動車の自動運転のプログラムを開発した技術者にするのか、プログラムが動作していたコンピュータを開発・生産した企業にするのかなどです。